癌の増殖
最初は1個の癌細胞も、分裂を繰り返すうちに何百万個、何千万個と増えていき、直径が5ミリくらいに成長すると初めてエックス線検査などで写真に写るようなって発見可能な状態になります。 これくらいまで成長しても普通何も症状は現れません。 その増殖速度は分裂回数が増えるにしたがって幾何級数的に増大しますから短期間で2センチ、4センチ、8センチという大きさになっていって神経を圧迫したり、周囲の正常な組織を破壊したりして体に不調が生じたりします。 癌の組織がある程度成長すると、その一部が血管に侵入し、血流に乗って全身に流れていく可能性が高くなってきます。 そして漂着した先でさらに増殖を続けようとします。 これがいわゆる転移というもので、理屈からいえば、もともとの発生箇所の組織(原発巣という)がまだ微細なものであっても(直径1ミリの組織でも百万個の癌細胞の塊です)、十分に転移の可能性はあるということになりますから、いくら早期に発見出来て取り除いたとしてもそれだけでは安心はできません。 発見できないものは取り除きようがありませんから。
ここで少し脱線しますが、先ほどの直径1ミリの癌組織が百万個の癌細胞の塊であるという話の根拠を説明しておきます。 細胞というのは、普通目に見えないほど小さなもので、例えば小さな赤血球は直径7ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリで、1マイクロメートルとも呼ばれます)で、平均的な細胞は10ミクロン程度です。 それがぎっしり一列に並んだ状態で100個並ぶと1ミリで、1辺が1ミリの立方体ですと100の3乗ですから百万個になります。 1個の卵子が分裂を繰り返して成長する様を連想してみてください。 これが1センチとなると、1000の3乗ですから、その数は何と10億個などというとんでもない数になります。 2センチでは10億×2の3乗で80億個となり、3センチでは10億×3の3乗で270億個というように莫大な数になっていきます。 画像診断の写真で1センチが2センチになったということはただ単に大きさが倍になったということではなくて、リンパ球が戦わなくではならぬ敵の数が8倍に増えたという意味なのです。
Part3につづく
最初は1個の癌細胞も、分裂を繰り返すうちに何百万個、何千万個と増えていき、直径が5ミリくらいに成長すると初めてエックス線検査などで写真に写るようなって発見可能な状態になります。 これくらいまで成長しても普通何も症状は現れません。 その増殖速度は分裂回数が増えるにしたがって幾何級数的に増大しますから短期間で2センチ、4センチ、8センチという大きさになっていって神経を圧迫したり、周囲の正常な組織を破壊したりして体に不調が生じたりします。 癌の組織がある程度成長すると、その一部が血管に侵入し、血流に乗って全身に流れていく可能性が高くなってきます。 そして漂着した先でさらに増殖を続けようとします。 これがいわゆる転移というもので、理屈からいえば、もともとの発生箇所の組織(原発巣という)がまだ微細なものであっても(直径1ミリの組織でも百万個の癌細胞の塊です)、十分に転移の可能性はあるということになりますから、いくら早期に発見出来て取り除いたとしてもそれだけでは安心はできません。 発見できないものは取り除きようがありませんから。
ここで少し脱線しますが、先ほどの直径1ミリの癌組織が百万個の癌細胞の塊であるという話の根拠を説明しておきます。 細胞というのは、普通目に見えないほど小さなもので、例えば小さな赤血球は直径7ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリで、1マイクロメートルとも呼ばれます)で、平均的な細胞は10ミクロン程度です。 それがぎっしり一列に並んだ状態で100個並ぶと1ミリで、1辺が1ミリの立方体ですと100の3乗ですから百万個になります。 1個の卵子が分裂を繰り返して成長する様を連想してみてください。 これが1センチとなると、1000の3乗ですから、その数は何と10億個などというとんでもない数になります。 2センチでは10億×2の3乗で80億個となり、3センチでは10億×3の3乗で270億個というように莫大な数になっていきます。 画像診断の写真で1センチが2センチになったということはただ単に大きさが倍になったということではなくて、リンパ球が戦わなくではならぬ敵の数が8倍に増えたという意味なのです。
Part3につづく
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