5年生存率というのがあります。癌と診断されてから何パーセントの患者さんが5年間生存できるかという数字です。昔から、何で5年なんだろうと疑問に感じていたのですが、最近その理由がわかってきました。つまりこういうことなんだろうと想像しています。

結論としては、5年以内に転移や再発が認められない癌は実は癌ではくて、慶応病院の近藤誠氏がおっしゃるところの「がんもどき」であって、5年未満に再発した癌こそが本物の癌だったというわけです。「がんもどき」は単なる腫瘍(できもの)であって、放っておいてもすぐに命を脅かすようなものではない。一方本物の癌は、発見不可能なその最初の段階からどんどん転移しますから、検査で発見された癌組織を切除したり、放射線で焼き殺したところで、すでに転移していて発見できなかった病巣は当然ながら野放しになります。それなら、もっと徹底的に調べあげて見つけたやつをしらみつぶしに全部切除したり焼き殺せばよいだろうと思いますが、それは絶対に不可能です。何故ならたとえどんなに優れた検査機械を用いても、発見できるのはせいぜい直径5ミリ以上の病巣に限られ、それ未満ですと見つけられませんから、そのまま放置されることになります。

このような場合、「幸いにも転移は認められませんでした」という誤った診断(正しい診断は「発見可能な転移はありませんでした」)になり、発見された原発巣だけが手術、抗がん剤、放射線などでの処理の対象にされます。この処理の過程では全身麻酔により、体全体の免疫が一時的に低下したり、定期的に注入される抗がん剤という毒物によって、あるいは、強力な電磁波による組織傷害によって慢性的な免疫不全状態に陥ります。ところが、たとえ直径1ミリの発見不能な微細転移巣であっても、それは100万個の癌細胞の塊です。もともと免疫が低下していて癌が発生しているところに、さらに追い打ちをかけますから、1ミリの癌ちゃんは、「しめしめ、ますますやりやすくなったわい」とほくそ笑むに違いありません。そして、このような全身いたるところに転移した悪性の癌細胞の小粒は増殖を繰り返し、あるものは1年から数年のうちに発見可能なサイズまで成長し、術後の定期検査で発見され、再発あるいは転移と診断されるという仕組みです。そうなれば、さすがに最早ピンポイント攻撃は無意味ですので、選択肢は抗がん剤による無差別じゅうたん爆撃のみということになり、その無差別故の強力かつ広範囲に及ぶありとあらゆる「副作用?と呼ばれる主作用」のせいで寿命は極端に短縮され、長くもっても増殖のための数年プラス無益な治療に耐える(耐えられるはずもないが・・)数年の合計5年程度未満というわけです。

逆を言えば、5年過ぎても転移が発見されなかったなら、最初に処分された原発巣は「がんもどき」であった可能性が強く、散々脅かされて悩んだのは一体何だったのかなという疑問の念と、やれやれ助かったという安堵の気持ちが入り混じった複雑な気分にさせられたりもします。



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