がん治療について考えることは非常にたくさんあるのですが、知っておくことがとても大切だと思える極めて単純な事実があるので、簡単に書いておきたいと思います。

それは手術と放射線治療に関してです。 あたりまえですが、手術も放射線治療も、CTなどの検査でそこにがんの病巣が存在することを確認してから行います。 したがって当然事前の検査で確認できない病巣は治療の対象になりません。  それではCT, MRI, エコー、はたまたPETなどを総動員してすべての病巣をすべて発見できるかといえば、答えはノーです。  これらの画像診断で確認できる病巣は最小でも直径5ミリ以上とされています。  それより小さながんはどんなに精密な検査でも発見できません。 そんなに小さいがんなんてとるに足らないから見逃しても心配無用と言えるでしょうか?  ご存じでしょうが、直径1ミリのがんでも、計算上はおよそ100万個のがん細胞の塊です。 そしてどんながんでも、最初は1個のがん細胞から始まるのです。

そのような微細な転移がいくらあっても、発見できなければ転移は無いということになって手術と放射線治療は実行されます。  免疫力が十分機能しておれば、(つまり、癌を制圧するリンパ球の数と活性度が十分であれば)これらの微細転移は抑制され、大抵は大きく増殖せずにやがては消滅する場合が多いのですが、手術と放射線による侵襲的刺激は交感神経を刺激してリンパ球を激減させます。 つまり、がんに対する抵抗力が低下することになり、その結果、それらの微細転移巣に増殖のチャンスを与えます。

原発巣が首尾よく手術で切除あるいは放射線で完全に破壊できれば安心と言えるでしょうか?  がんは全身病ですから実は一か所だけでなく、むしろ何ケ所かで同時多発的に発生し、その転移も必ずあると考えるのが妥当です。 ただ発見する手段がないと考える方が自然でしょう。  そして、それらの治療によって微細転移の増殖のリスクはむしろ高まっていると考えるべきなのです。  実際、3年とか5年、あるいは10年以上経ってから再発、転移などというケースが非常に多いわけですが、そのルーツはすべてここにあるというわけです。

ですから、そのような治療はできるだけ受けないのが理想なのですが、不覚にも受けてしまったあとでは、その治療によって弱体化した免疫力を復活させることに全力でとりくむべきなのです。  その具体的な方法はいろいろあるでしょうが、もっとも大切なことは、体温を高めに維持して免疫細胞が効率的に働ける環境を保つということです。  同時に、体温の低下を招く要因を排除することも当然大切です。  体温を低下させる最大の原因は血行不良です。  血管が収縮すると血液の流れが悪くなります。  血管が収縮する原因は慢性的に交感神経の緊張をもたらす自律神経の失調です。  過労、冷え、不安、心配といった様々なストレスが長期間継続すると慢性的に血行不良となります。  血流が不足すると、細胞に十分な酸素と栄養素が供給されにくくなりますし、老廃物の排泄も滞ります。 これによって全身的に代謝が低下し、体温も低下し、その悪循環のスパイラルが結果的に免疫細胞の活性も奪います。 ですから、免疫力を復活させるためにはその逆のことをすればよいわけです。  体が冷えないようにいつも温かく保ち、仕事はほどほどにして十分休養をとること。  希望をもって心を前向きにし、済んでしまったいやなことはすぐに忘れ去るように心を切り替えたりします。

また代謝の向上には体内酵素の量と活性だけでなく、その量も重要です。 体内酵素は本来細胞の中でアミノ酸とミネラルを原料として合成されていますが、鉄、銅、亜鉛などの鉱物であるミネラルは環境から摂取するしかありません。 摂取可能なミネラルはあらゆる動植物の細胞内に含まれていますから、普通食事をすることで摂ることができます。  ところが昨今の農薬や合成肥料の濫用によって野菜に含まれるミネラルが極端に減少しているばかりか、精製された加工食品からはわざわざミネラルが除去されています。
したがってこのような食品に依存している現代人のほとんどがミネラル不足になり、体内酵素不足に陥っていると考えられます。  また食生活に十分気をつけてミネラルを摂っていても、加齢による代謝低下で酵素を合成する能力そのものが落ちてきます。  さらにストレスによって発生する活性酸素の消去によっても酵素が消耗されます。

それならば酵素そのものを摂取すればよいのではという考えがでてきます。 あらゆる生物は自分で酵素を合成し、その触媒作用で生命を維持していますから、普通に食事することで酵素も体内に入りますが、口から入った酵素がそのまま体細胞に取り込まれるのは極めてわずかでしかありません。  何故なら、酵素はアミノ酸とミネラルが結合した蛋白質だからです。  タンパク質は消化の過程で一旦アミノ酸に分解され、細胞に取り込まれてからDNAの情報にしたがって必要な蛋白質が合成されるようになっています。  つまり食事で摂取できるのは酵素の材料に過ぎず、酵素そのものではないということになります。  このことは、植物から抽出した酵素、あるいは、酵素が豊富とされる健康食品などについても同様です。  無論ゼロということはありませんが、対費用効果は非常に低いのです。  酵素そのものをより効率的に摂取するには、消化器官を経由せずに、直接体表から吸収する方法がよいということになります。  有害化学物質に接触する機会が多いと発癌することからも、あらゆる物質は分子レベルのサイズなら皮膚の表面から体内の細胞に入っていくことは明らかです。

絶対におすすめできないのが、経口、点滴いろいろあるようですが、予防的抗がん剤の投与という毒物投与です。 体内に入った毒物は主に肝臓で解毒されますが、その際に多量の酵素を消耗してしまうからです。 そのような行為は何の効果も無いばかりか逆に免疫力を低下させ、さらなる転移と新たな発がんのリスクを高めるばかりですから絶対にやってはいけないと考えています。