生態系を構成するあらゆる種類の生物の中で最も重要な役割を果たしているのが微生物です。 微生物が存在しないと植物は存在できず、植物が存在しなければ動物も存在できません。 つまり、微生物は地球上のすべての生命を支えているというわけです。

土壌には通常大量の鉱物の微細な粒子が含まれていますが、それが植物の根から吸収されるには、水に溶けた状態になっている必要があります。 土壌中の鉱物粒子はいくら小さいといっても、水に溶けるには巨大過ぎますから、水の分子と混じり合うには分子レベルのサイズにまで小さくなっていなければなりません。 金属の粒子をそこまで細かく加工するのは機械的な工程では不可能です。 実はその加工をやってくれているのが微生物というわけです。 したがって、農業に適した肥沃な土地というのは微生物が生存するのにその環境が適している土地ということになります。 そこでは、多くの微生物たちがせっせと土壌中の金属粒子を細かく細かく消化してくれていますから、そこの水分には、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、カリウム、などの多くのミネラルが溶けていることになります。 植物はそのミネラル豊富な水を根から吸い上げ、アミノ酸を合成し、酵素を作り、光合成を行いタンパク質や糖分やでんぷんなどを合成し成長します。
草食動物がそれを食べて消化吸収して成長し、今度は肉食動物がそれを食べ、植物と動物の死骸や排泄物は微生物が分解し土に戻ります。 そして、この究極的リサイクル活動が何億年も続いています。

病害虫を防ぐために農薬を使用して土壌の殺菌を続けると金属粒子を消化してくれている有用な微生物も死滅しますので、植物は土壌中の水分から十分なミネラルを吸収することができなくなりますからミネラル不足の貧弱な植物になります。 それを食べる動物はミネラル不足の動物になります。 ミネラル不足の動植物を食べて生きる人間も当然ミネラル不足になり、体内酵素が不足しますから、代謝と活力が低下し、免疫が低下し、病気が蔓延し、薬物の使用がさらに酵素を消耗するといった具合に多くの現代人がその悪循環のスパイラルに堕ち込んでいるように思われます。 工業化に伴う環境中の有害化学物質の増大や高蛋白高脂肪高カロリーの食生活などと並び、先進国で癌や糖尿病などの慢性病が蔓延している要因のひとつとして数えることができるでしょう。