抗がん剤(化学療法)
奇想天外な名前がついた多種多様な抗がん剤が法外な価格で発売され大量に使用されていて、国家権力によってそのような毒物を合法的に販売することを許されている製薬企業などの医療ビジネスは莫大な利益をあげていますが、その作用は基本的にすべて同じです。   その作用とは一言でいえば細胞分裂の抑制です。  細胞は分裂を阻害されると死滅します。   がん細胞はブレーキが利かなくなっていて分裂のスピードが速く、急速に増殖しますから、薬物による分裂抑制作用を受けやすいのは確かです。   しかし体には他にも分裂が活発な細胞がたくさんあります。  毛根細胞、上皮(粘膜)細胞、腺細胞、骨髄細胞、皮膚、爪などがその代表です。  毛根が死滅すれば脱毛、口や消化器官の粘膜が破壊されれば口内炎、むかつき、嘔吐、食欲不振、気道内壁の粘膜が破壊されれば咳などの風邪や喘息のような症状が出現し、消化液を分泌する腺細胞が抑制されれば消化吸収が困難になりますから栄養失調になり、骨髄の幹細胞が分裂を抑制されれば血球(白血球、赤血球、血小板)が減少して感染症にかかりやすくなり、貧血になり、出血しやすくなります。  そして、皮膚はかさかさになり、爪は薄くよれよれになり、手足がしびれ、冷えて脱力感に襲われるというわけです。  癌細胞というレッテルを貼られても、もともとは正常な細胞がDNAの不具合によって暴走しているだけですので薬物がその違いを見分けて癌細胞だけを選択的に攻撃することなどありえないのです。  

以上のように多種多様な副作用が出現するわけですが、脱毛や嘔吐などの目に見える分かりやすい症状は、一見深刻そうに見えますが、実は大した問題ではありませんし(致死的ではないという意味で)それらの症状を軽減する薬物の使用によってむかつきなどの不快感は軽くて済むこともありますし、(むろんその薬物にも副作用があります)薬の投与を止めれば毛根は復活します。   本当に問題なのは、目に見えず、またこれといった不快感もない副作用で、それは骨髄機能抑制による血球の減少と肝細胞破壊による肝機能の低下、そして最大の問題は交感神経刺激による癌細胞に対する免疫力の低下です。

血球の減少は、赤血球、白血球、血小板のすべての減少を意味します。 赤血球が減れば、全身の細胞への酸素の供給が減少しますから貧血状態になり、代謝が低下して倦怠感が強くなります。  白血球の減少は免疫を弱体化させて病原菌に感染した場合致命的になり、新たな発癌や転位を促進します。 血小板の減少は止血能力の低下を意味しますから、出血しやすくなり、止血しにくくなります。

肝臓は普段から酵素を使って毒物の分解処理を行っていますが、薬物によって血中の毒物濃度が異常に高まると負担が過重になって肝細胞の破壊が進みます。 細胞が破壊されると、GOT、GPT、γGTPといった細胞内の酵素が血中に漏れ出して、その血中濃度が上昇しますので、血液検査で破壊の程度を知ることができます。  これらの酵素はどの臓器や組織にも存在しますが、特に肝臓に多いのです。   肝臓は巨大な臓器で、再生能力も強いので、細胞の破壊がかなり進んでも持ちこたえて大した症状が現れませんから数値が上昇してきたら血液検査の指標を注視する必要があります。  また、多くの自然現象、例えば氷の融解の場合がそうであるように、ある臨界点を境に急激かつ非可逆的に一気に破壊が進んで肝不全に陥ることがあり、この場合、連鎖的に多臓器不全を招き死亡します。  いつ臨界点を超えるかは多くの要因が影響する以上誰にも予想が出来ませんから非常に危険なのです。   抗癌剤の投与は何度かに分けて行われます。  その都度事前に採血し、主に白血球数と肝細胞の破壊の程度をチェックして続行可能かどうか判定しますが、次回の投与で臨界点を超えるかどうかは実際には誰にも予測できません。   さらに度重なる細胞の破壊と再生は細胞分裂の頻度を異常に高めますから、当然肝臓がんのリスクが増大します。  

抗癌剤という毒物が投与されるとその異物に対抗するために体は臨戦態勢となり、直ちに顆粒球の大増産が始まり、白血球の総数は一時的に増大し、リンパ球の比率は相対的に低下します。  間もなく骨髄抑制が始まり、白血球全体は減少に転じます。  白血球の減少は顆粒球とリンパ球の両方の減少を意味しますから、菌の感染に無防備になると同時に癌細胞への攻撃が弱まります。    これを具体的に数字でみてみますと、白血球総数が5000個/マイクロリットルあった時、リンパ球はその30%として1500個です。   抗癌剤投与直後は交感神経緊張によって顆粒球が増産されて総数が10000個に増大しますが、リンパ球の数は変化しませんから1500個のままで、比率は15%に落ちます。 やがて骨髄抑制が始まり、白血球総数が下がって3000個になったとすると、リンパ球の比率はそのままで15%ですからその数は450個になります。  抗がん剤投与前の1500個に対して三分の一以下に減ってしまうことになります。  血液検査の結果を観察すると、実際に抗がん剤投与後しばらくすると白血球が2000個程度までに下がり、リンパ球の比率が15%程度にまで下がってしまっていることもよくあります。  2000の15%は300ですから、リンパ球は抗がん剤投与前の五分の一になってしまうことになります。  つまり、これが意味するのは、100万人の大軍にたった300人で立ち向かうのと同じことになりますから、多勢に無勢、とても勝利の見込みはありません。    癌患者の場合は、もともと免疫不全に陥って癌細胞の増殖を許しているのですから、リンパ球は最初から少ない場合が多い。  そうすると、当然ながら、抗がん剤投与によるリンパ球数の減少はより著しくなります。   癌細胞とリンパ球の戦いは、人間社会の戦争とまったく同じです。  勝敗を決するのは兵士の数と能力次第です。   いくらやる気があっても数が少なくては勝目はありませんし、数はあっても無能ではやはり戦力になりません。  つまり、抗がん剤の投与は、一時的には癌の増殖を抑制したり、癌組織を縮小させたりする効果が認められる場合もありますが、その効果はあくまでも限定的であって、その継続的な使用によってかえって癌の増殖や転移、さらには新たな発癌を助長するという皮肉な結果をもたらすことになるのです。   効果が限定的であるというのは、限定的なものにとどめておく必要があるからで、癌細胞を100%死滅させられるだけの多量かつ強力な薬を使用すれば、当然正常細胞も100%死滅しますから、死亡を意味します。   さすがにこれでは誰が見ても明らかな毒殺行為になりますので、医療現場で行うことはできません。   したがって、手加減しながら行いますから、癌細胞も大半は生き残ります。   その時はかれらの敵兵力としての免疫機能はすでに極端に落ちていますから、生き残った癌細胞はここぞとばかりに勢力を拡大させることになります。   手術後によく行われているのに予防措置としての抗がん剤投与があります。  取り残した癌細胞を叩いて再発を防止しようとの目的があるようですが、これなどは、以上述べた理由から、まさしく愚の骨頂の極みであり,気違い沙汰と言えます。

Part3につづく